大阪府内科医会からのお知らせ

CKD(慢性腎臓病)実態調査結果報告(追載 CKD連携紹介基準2018)

大阪府内科医会では、全会員を対象にCKD実態調査を実施(実施期間平成27年6月1日~7月15日) 

10月17日開催の第17回推薦医部会にて報告した内容の一部。なお、ページの最後にCKD連携の紹介基準を掲載しているが、「CKD診療ガイドライン2018」が発刊されたことから、大阪慢性腎臓病対策協議会監修のもと改定した内容に変更。

70歳以上のCKD症例において、かかりつけ医への定期受診及び腎臓専門医への紹介が必要と考えられるCKDステージ、eGFRの値は、定期受診は「G3a期(eGFR60未満)」との答えが最も多かったが、G3b期やG4期以上になり初めて定期受診が必要との回答が約37%もあった。また、腎臓専門医への紹介については「CKD診療ガイド2012」に記載されているeGFR40未満という基準に対してG4期(eGFR30未満)や透析導入直前のG5期まで紹介しないという結果が34%で、定期受診のタイミングや腎専門医への紹介のタイミングの遅延については注視すべき問題である。(図1)

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CKDの治療で重要と考える項目を聞いたところ、「血圧コントロール」との答えは95.2%、「食事塩分制限」との答えは77.9%を占め、血圧関連については医師の意識の高さがうかがえた。「血糖コントロール」や「蛋白尿の減少」、「RAS系阻害薬の投与」、「腎性貧血治療」の有用性については約50%の医師が重要と考えているという結果だった。一方、「肥満の改善」や「高脂血症治療」、「禁煙」については30%程度にとどまり、「骨・ミネラルの代謝異常」については20%を切る結果だった。(図2)

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腎性貧血の治療開始時期については、「Hb11未満」との回答は全体の15%、「Hb10未満」と答えたのは38%だった。「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」ではHb11未満、「CKD診療ガイド2012」ではHb10未満で、CKD患者へのESA投与開始が推奨されている。しかし、「Hb9未満」との回答が23.4%、「Hb8未満」との回答が7.9%で、貧血の進んだ状態での治療開始の回答が31.3%にものぼった。(図3)

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地域連携・病診連携の実態については、「ほぼ機能している」が18.9%、「ある程度機能している」が46.5%、「機能していない」が35%でした。連携PASSについては「活用している」が15.3%、「あまり活用していない」が35.9%、「知らない・活用していない」が49%で、約8割が活用していないという状況だった。これらを総合すると大阪府内でのかかりつけ内科医と腎専門医の関係づくりは進んでいるものの、具体的な連携ツールとしてのクリニカルパスはまだ普及していない現状がうかがえた。(図4)

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また、当日資料として「CKD連携 紹介基準」を配布したものから

「CKD診療ガイドライン2018」が発刊されたことにともない、紹介基準を改定したものを

掲載する。

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この基準は「CKD診療ガイドライン2018」に準じて作成。

わが国では今や8人に1人がCKDと言われており、国民病とも言われている。数少ない腎専門医が全てのCKD患者の診療を行うことは困難であり、専門医とかかりつけ医が病診連携をすることが重要となってきている。CKDを早期に発見し、蛋白尿や軽度腎機能低下の段階から治療介入することが、腎機能悪化の進展を遅らせることに繋がる。患者様のため、さらには社会問題となっている医療費抑制のため、地域の腎臓専門医の先生方と連携しながら、CKD対策にお役立てください。

資料をご希望の方は、大阪府内科医会事務局までご連絡ください。

(e-mail opa-office@umin.ac.jp )