大阪府内科医会からのお知らせ

クリニックマガジン5月号掲載(2013年)

大阪府内科医会「第14回女性と医師が語り合う会」

理想はかかりつけ医と専門医の2人主治医制

大阪府内科医会は日、大阪府医師共同組合大ホールで一般市民を招いて「女性と医師が語り合う会」を開催した。この催しは「健康の鍵を握っているのは家庭の中心にいる女性」という同会山家健一名誉会長の発案で始まり、毎年開催されている。今年は市民約120人と大阪府内科医会の推薦医約40人、大阪府薬剤師会からも理事1人が加わり、テーマに設定された「いつまでも美しくいきいきと」に沿って語り合った。(編集部)               

 

かかりつけ医にしかできない経過観察

「女性と医師が語り合う会」は、講演会やパネルディスカッションに加えて、参加市民が10人のほどの小グループに分かれて大阪府内科医会の推薦医と気軽に語り合う場としてグループディスカッションを設けている。今年は、各グループでかかりつけ医に対する市民の要望が投げかけられた。各グループとも8割ほどはかかりつけ医を持っていて、「病気は正体を現すのに時間がかかることもあるから、症状を長きにわたって経過観察してくれる」、「家族のことや経済的な面もわかってくれている」とかかりつけ医に絶対的な信頼をおいた声が聞かれた。かかりつけ医の選択方法としては、「電話をかけて、対応のよいところを選ぶ」という意見が多く寄せられたほか、「インターネットで探した」、「新設で内覧会をしてくれたところに親近感がわいた」、「送迎をしてくれるところがいい」、「訪問看護のあるところを探した」、「専門以外も診てくれる先生を選んだ」、「行政の無料検診を毎年違うところで受けて、よかったところにした」など、さまざまな選択方法が披露された。しかし、かかりつけ医をもっていないという人もいて、「腕のいい先生にかかりつけ医になってもらいたいが、専門性が細分化しすぎて、どこを選んだらいいのかわからない」という意見も寄せられた。大阪府内科医会ではきちんとした医学的知識を持って診療にあたっていることはもちろん、地域医療にも尽力し、また幅広い人脈で診診・病診連携を滞りなく行える医師をかかりつけ医として推薦している。平成18年に発足した後、いまでは300人もの医師が推薦医として認定された。福田正博会長は同会Webサイトで推薦医リストを掲載していることを紹介した。

 

パネルディスカッション「市民と医療を考える」

病診連携は「症状がおちついたら」がキーワード

パネルディスカッションは市民から寄せられた質問を基に病診連携について展開された。"かかりつけ医に病気の変化を的確に判断してもらい、症状によっては病院で検査や治療を受けて、症状が落ち着いたらまたかかりつけ医に診てもらう"といった理想の形を実践している人は少なく、かかりつけ医をもっていても多少の痛みは我慢してしまう、あるいは病院へは行くがかかりつけ医を持っていないという人が多かった。

パネリストで市立堺病院の藤沢智巳氏は「地域によって救急の対応がちがうので、自分が住んでいる地区の救急医療を把握しておくことは大事だが、普段からかかりつけ医に相談していれば急変を未然に防ぐことができる」と語った。また、大阪府内科医会副会長の樋口徹氏は「救急安心センターおおさか」を紹介。これは救急車を呼ぶほどではないが、応急手当が必要かもしれないと迷ったときの救急医療相談を24時間、365日受付してくれるもので、電話で♯7119または06-6582-7119をダイヤルすればいい。樋口氏は、「いつもと違う痛みを感じるなど、急な病気やケガで迷ったら、#7119で様子を伝え、症状に応じた救急病院を案内してもらうことも一つの手だ」と述べた。ただ、症状が治まった後にかかりつけ医に戻らず、自己判断で完治としてしまうケースも多々ある。藤沢氏は「おちついたらかかりつけ医、逸脱したら専門医という2人主治医の状態が理想的」と語った。

 

講演「脳をすこやかに保つには」

脳卒中と認知症の予防には共通点が多い

大阪府内科医会理事 井上正純  

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大阪府内科医会理事の井上正純氏(いのうえクリニック院長)は、体の内面から美しくいきいきと過ごすための予防策として、年齢とともに発症頻度が高くなっていく脳卒中と認知症について解説した。脳卒中は、日本人の死亡原因の第3位であり、寝たきりになる原因の第1位である「脳卒中」は脳出血と脳梗塞という相反する疾患をひとくくりにした言葉。井上氏は「脳出血は高血圧などが引き金になって血管が破れ反応が鈍くなったり手足が動かしにくくなったりする。クモ膜下出血は脳動脈瘤が破裂しおこるもので突然ハンマーで殴られたような激痛が走る。脳梗塞は心臓にできた血栓が流れてきたり、動脈硬化で細くなった血管が詰まったりして脳内の血流が止まる疾患。片方の手足がしびれたり、ロレツが回らなくなったり、歩けなくなったりする」と違いを参加者にわかりやすく説明した。一方、認知症は、「記憶や判断力などの認知機能が衰える病気で、日常生活を一人で自立して送ることができなくなった状態」と説明するとともに、「脳卒中と認知症の予防には共通点が多い」と強調した。その予防法として、40数年前にアメリカ人のJean Mayer博士が出した逆説のメッセージ「亭主を早死にさせる10ケ条」を例にあげ、「これの逆、つまりバランスのよい食事をとる、適度な運動をする、深酒とタバコをやめる、生活習慣病の早期治療、対人交流習慣、知的行動習慣などを心がけるようにしたら脳卒中も認知症も同時に予防できる。脳をいつまでもすこやかに保つことが健康長寿に重要だ」と語った。

 

市民と大阪府内科医会推薦医によるグループディスカッション

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パネルディスカッション
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藤澤智巳氏(市立堺病院糖尿病内科部長)の指揮で合唱

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参加者全員で体操

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